
◆第1回しらさぎS・G3(6月22日、阪神競馬場・芝1600メートル、良)
サマーマイルシリーズ初戦で、新設重賞の第1回しらさぎS・G3は22日、阪神競馬場で行われ、5番人気のキープカルム(坂井)が、1番人気で牝馬2冠馬のチェルヴィニアを2着に下し、重賞初制覇を飾った。
初代覇者として堂々、その名を刻んだ。キープカルムは4角を回って10番手。先行勢が粘り込みを図るなか、坂井は冷静にその時を待った。「あとは進路を見つけるだけ」。力強く手綱を押し、わずかにあいたスペースをこじ開けた。左ムチ一発で重賞3勝馬レーベンスティールをかわすと、最後は昨年の2冠牝馬チェルヴィニアとの追い比べ。ゴール前でグイッともうひと伸びして1馬身差で完封した。
4月のダービー卿CT3着に続く4度目の重賞挑戦。テン乗りで初タイトルに導いた鞍上は「すごくうれしい。操縦性がいいし、反応もいい。今日に関しては何も言うことがない。馬のおかげで勝てました」と、4歳牡馬を褒めたたえた。
1000メートル通過が59秒1のスローペース。行きたくなるような緩い流れでも、馬名の意味通りに“冷静を保ち続けた”。内で我慢できたことが、ラスト1ハロンの極上の切れ味につながった。2、3歳時はのちのG1馬ジャンタルマンタル、メイショウタバルと差のない競馬を繰り広げてきた実力馬。今年のオークス馬カムニャックの半兄という良血が、夏の阪神で花開いた。
前身の米子S(リステッド)時代の21年から、勝ち馬は4年連続でサマーマイルシリーズを制している。「今日は無事に重賞を勝てたけど、まだまだ上のステージで頑張れる馬だと思う」と坂井。目指すのは夏のマイル王か、それとも…。今後は未定だが、充実期を迎えたロードカナロア産駒の前には様々な可能性が広がっている。(山本 理貴)
◆キープカルム 父ロードカナロア、母ダンスアミーガ(父サクラバクシンオー)。栗東・中竹和也厩舎所属の牡4歳。北海道千歳市・社台ファームの生産。通算15戦5勝。総獲得賞金は1億4082万9000円。重賞初勝利。馬主は前田晋二氏。