


◆第66回宝塚記念・G1(6月15日、阪神競馬場・芝2200メートル)
春のグランプリ、第66回宝塚記念・G1(15日、阪神)で、史上初の大阪杯連覇をしたベラジオオペラが、3着だった昨年に続いて出走する。ファン投票1位で、昨年のドウデュースに続く歴代2位の22万8950票を獲得しての参戦。林田祥来オーナー(59)がスポーツ報知の単独インタビューに応え、「負けたくないですね」と熱い思いや、秋以降についても語った。
胸が高鳴る。ベラジオオペラは前走の大阪杯で史上初の連覇。中距離界の王者として、宝塚記念で堂々とライバルを迎え撃つ。林田オーナーは熱く胸の内を語った。
「生意気に聞こえるかも知れませんが、負けたくない。そういう気持ちはありますね。大阪杯を連覇させてもらって、ファン投票1位で選出していただいた。うれし過ぎますし、感謝しかありません。その応援、期待に応えるためにも、負けたくないですね」
有馬記念(4着)以来だった前走。G1初制覇となった昨年と違い、これまで感じたことがないプレッシャーに襲われた。
「昨年は無心のチャレンジャーの立場。晩成型と言われていたので、4歳春のG1制覇はまだ早いかなと。当然、勝ってほしかったですし、緊張感はありましたが、いい意味の気楽さはありました。ただ、今年は胃が痛くて痛くて吐きそうでした(笑)。仕上げるのは上村調教師を始めとした厩舎スタッフのみなさん。私がやれることはないのですが、前年の覇者としてプレッシャーは感じていました。今回も当日、どんな気持ちになるのか想像もつきません」
レースは横綱相撲だった。逃げたデシエルトが1000メートル通過57秒5で引っ張るタフな流れ。先行策から真っ向勝負を挑み、残り150メートル付近で堂々と先頭へ。走破時計は1分56秒2でコースレコードを1秒0も更新した。
「オペラの成長に驚かされました。差し馬が有利なペースでしたが、直線は好位から突き抜けてレコード。これまでは、そつなく進めて自在性、操縦性の高さが武器でしたが、本当に強くなったなと感動しましたね」
馬主としてJRA初出走の21年から所有馬を預けてきた上村調教師。23年の日本ダービー(4着)から今回で9戦連続の騎乗となる横山和。2人への信頼は厚い。
「上村調教師は今も熱心に乗られているし、ひたむきで実直。自分が調教をつけるという、こだわりが半端ないですよね。和生騎手はダービーのときからずっと乗ってくれていますし、好不調時も全て知っている。上村調教師と並んでオペラの最大の理解者で、2人に任せていれば大丈夫だと思っています」
雨中決戦となった昨年の宝塚記念は、先行策から粘って3着に敗れた。阪神が改修中だったため京都で行われたが、今年は阪神に戻っての開催。そして、オペラにとっては4戦4勝と自分の“庭”にしている得意コース。地方の兵庫・園田競馬で馬主生活をスタートさせた林田オーナーにとって、地元のような舞台だ。
「大阪杯の勝ちっぷりを見たら、京都でもやれるんじゃないか、とも思いますが、やはり阪神は全勝とゲンのいいコース。私も地元で活躍してくれることが、一番うれしいですから」
昨年の有馬記念で先着を許した女王レガレイラとの再戦。同じ5歳世代の菊花賞馬ドゥレッツァとは初対決。豪華メンバーが集まったグランプリで結果を出し、秋のビッグレースへとつなげたい。
「昨年、(6着で)勝つことができなかった天皇賞・秋はもちろん、その後は香港も選択肢のひとつになると思います。ただ、私自身は有馬記念が一番、勝ちたいレースです。それぞれの世代の最強馬が集まる年末の祭典。オグリキャップの引退レースや、トウカイテイオーの復活劇など、涙のドラマがいっぱいありました。その有馬記念を勝つことが夢ではあります」
冠名+歌劇を馬名の由来とするベラジオオペラが、宝塚記念で目指す新たなる栄光。仁川をステージに、勝利の凱歌が聞こえる走りをファンに届ける。(取材・構成、戸田 和彦)